第292章

島宮雪乃は、その「島宮雪乃」については結局、ろくに調べられていなかった。

 分かっているのは、相手が若くしてやり手だということだけ。若い上に仕事に必死なら、結婚も出産もまだのはず――そう決めつけていた。

 だからこそ、島宮雪乃はわずかな自信を取り戻して言い放つ。

「子どもがいるから何なの。あたしは今、独り身よ。あなた、丹羽光世に黙って男漁りしてるんでしょ? あの人の性格を考えたら……あなたがどんな目に遭うのか、ちょっと見てみたいわ」

 丹羽光世が島宮奈々未に手を上げるなら、できれば容赦なく――島宮雪乃は、そんな結末を心の底から望んでいた。

 かつて天瀬美和子の不倫が発覚したとき、島...

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